経営者の皆様は「粗利」をどれだけ意識されていますか?売上至上主義から脱却し、真の経営力を高めるためには粗利こそが重要な指標となります。
粗利益(粗利)とは売上高から売上原価を差し引いた金額です。この数字は事業の収益力を端的に表しており、企業の健全性を判断する上で欠かせません。単に売上を追いかける経営では、いくら数字が大きくても実質的な利益が出ていないという事態に陥りかねません。
例えば、月商1000万円の企業があったとします。売上は立派ですが、原価率が90%であれば粗利はわずか100万円。この金額で家賃、人件費、広告費などの経費をカバーするのは至難の業です。対して月商500万円でも原価率60%なら粗利は200万円となり、経営的には優位な状態と言えるでしょう。
粗利を意識した経営判断のポイントはいくつかあります。まず商品・サービスの原価率を正確に把握することから始めましょう。原価率の高い商品に営業リソースを集中させていては効率が悪いのは明白です。次に、顧客や取引先ごとの収益性も分析してください。大口顧客でも利益率が極端に低ければ、取引条件の見直しや思い切った撤退も選択肢となります。
経営者として重要なのは「売上」ではなく「利益を残す」ことだということを常に念頭に置いておくべきです。粗利率の高い商品開発や、効率的な業務フローの構築に注力することで、少ない労力で最大の成果を得られるようになります。
実務的なアプローチとしては、会計ソフトを活用して部門別・商品別の粗利を定期的にチェックすることをお勧めします。使いやすい会計ソフトを導入すれば、リアルタイムで経営状況を把握できます。
「売上を増やせば良い」という思考から「粗利を最大化する」という思考へのシフトは、経営者にとって大きなパラダイムチェンジとなるでしょう。限られたリソースを効果的に活用し、持続可能な経営を実現するために、今一度自社の粗利構造を見直してみませんか?
結局のところ、会計を制することは経営を制すること。数字に強くなることで、ビジネスの本質を捉えた的確な判断ができるようになります。粗利を軸にした経営戦略の構築が、貴社の未来を明るくする第一歩となるはずです。