中小企業経営において、経理業務は必要不可欠ながらも時間とコストがかかる業務です。記帳代行サービスを導入することで年間の経理関連コストを約40%削減することができた実例と具体的な手順をご紹介します。
まず、記帳代行とは、日々の取引記録や仕訳、帳簿作成などの経理業務を外部の専門業者に委託するサービスです。今回のケースでは、社内に経理担当者を1名雇用し、税理士事務所に月次チェックと決算業務を依頼していましたが、人件費や間接コストが経営を圧迫していました。
コスト削減の第一歩は現状分析でした。経理業務にかかる総コストを算出したところ、経理担当者の人件費(社会保険料含む)、税理士顧問料、経理ソフト利用料、その他間接費(オフィススペース、PC、研修費など)を合わせると年間約600万円にのぼることがわかりました。
次に、複数の記帳代行サービスを比較検討しました。料金体系、対応範囲、実績、セキュリティ体制などを精査し、最終的にフリーランスの記帳代行と税理士事務所のパッケージサービスを選択しました。月額15万円で日常の経理業務から月次決算資料作成、税務申告まで一貫して対応してもらえる内容です。
導入にあたっては、まず3ヶ月の試験期間を設けました。この間に業務フローの確立、クラウド会計ソフトの導入、データ連携の自動化を進めました。特に、銀行取引のAPI連携や、経費精算アプリの導入により、データ入力作業が大幅に効率化されました。
完全移行後、社内では請求書発行と経費申請の承認のみを行う体制となり、経理担当者は営業アシスタント業務と兼任することが可能になりました。結果として、年間コストは約360万円まで削減され、約40%のコスト削減を達成しています。
この取り組みから得られた重要なポイントは以下の通りです。まず、記帳代行サービスの選定では価格だけでなく、対応スピードや専門性、相性の良さを重視することが大切です。また、クラウド会計ソフトとの連携や自動化ツールの活用が効率化の鍵となります。さらに、移行期間は十分に取り、段階的に業務を移管していくことでリスクを最小化できます。
記帳代行の活用は単なるコスト削減だけでなく、経営者が本業に集中できる環境作りにも貢献しました。財務データの可視化が進み、経営判断のスピードも向上しています。
経理業務のアウトソーシングを検討されている経営者の方々にとって、この実例が参考になれば幸いです。自社の状況に合わせたアプローチで、効率化とコスト削減の両立を目指してみてはいかがでしょうか。